旅する骨董屋 喜八

旅をして古い物の売買をしています。

チベットのアンティークの売値の正体




こんにちは。

こじらせ系アンティーク・バイヤーのキハチです。

ぶっちゃけるなら、
この際、自分の事を暴露してしまおう。

商品の値段の正体です。
価格ですね。

原価を言っちゃいます。

例を出します。

菩提樹の葉デザインの古いチベタンターコイズ
珍しいです。個人的には初めて見ました。

今は個人コレクションにしてますが、
日頃からお世話になっていて、
お問合せのあった少数の方にのみ、
一瞬ですが、販売用としました。

僕の売値は5万円でした。

僕の買値を自分で暴露しましょう。

4万4千円です。

マヂです。

4万4千円を払って現地で手に入れました。

高過ぎると思うでしょう。

実際高いのです。
でもそれでも安いのです。

もちろん現地では、
手頃な値段のチベタンターコイズも手に入れるのは可能です。
僕も様々な手段を使い、手に入れております。
値段は現地でも千差万別です。

でも、高いチベタンターコイズもあります。

高く払わざるを得ない状況と物もあるのです。
もう出会えないと思えたり、
どうしても手に入れたいと思う場合です。

重要な事を言っておくと、
「買値が4万4千円」です。

その他に渡航費や滞在費などなどの、
「見えない経費」がかかっていて、
仕入れ費(買値)にその他の経費を足すと、
実際は「大赤字の売値」です。

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そもそも古い物ってのは、
チベタンターコイズに限らず、
時と場合や場所や売り手、
物の良し悪し、
などによって値段には大きな違いがあります。

僕が知る限り、
それは大体、世界共通です。

特にチベタンターコイズは、
古かったり大きかったり、
色艶など物自体が良かったり、
珍しいと、ドンッ、と値段は上がります。

実は、
「現地での値段(売値)は一律ではございません」

また、チベット本土はグラム(重さ)売りではなく、
一個一個での販売となり、その値段は売り手が決めます。
重さ基準でも値段には幅があります。

その辺の事情は、
チベット仏教圏のジービーズのディーラーもよく知ってます。

実際にこのターコイズを買い付けした時には、
たまたま同席した知人のジービーズのディーラーも欲しがってました。

ついでに言うと、彼が提示した金額は約4万円ほどでした。
僕が4千円を上乗せしたので、
チベタンの友人売主から僕が手に入れられたのです。
仲の良い共通の友人がいたので無理に競り合わず手に入れました。

なお、このチベタンターコイズは、
売主の言い値はもっと高かったです。
売り手とは旧知の間柄で、
わざと高く言う人間性や関係性ではないです。

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僕の売値である5万円という金額自体は、
一般水準での生活においては安い値段の部類ではないかもしれません。

しかし原価は、意外に高いのです。

「じゃあ何故そんな安値で売るのか?」

もっともな疑問が出るでしょう。

僕が売っているのは物語です。

例え、安くても高くても、僕はその値段には
費やした労力やお金や時間や経験、
希少性や物語など、
自信を持っております。

でも、物語や価値観を共感して頂きたい勝手な想いがあるし、
喜んで頂きたいから、
売値は無理している時もあるのです。

もちろん、
全部の商品、
全ての買い手、
全ての状況で同じ様にやったら
僕は悲惨な事になってしまいます。
破産してしまいます。

そこら辺はバランスです。
忖度です。

考えてみれば、
僕は生活であまりお金を使いません。

お金を使うのは、
旅くらいです。

その他は、
昔から好きな日本の野良着とかをたまに買う位かな。

旅もあれこれ色々な手を使います。
そこら辺は僕の得意技です。

底辺ですが、やりくりすれば何とかなるのです。
大きな病気などをしていない、今のところですが。

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日本でのチベットの古い物に関しては、
「何を考えているのかしら?」と思える、
嘘くせー言葉も見聞きします。

無茶苦茶に高額で売っている人も聞きます。
高く仕入れていれば話は別ですが、


その値段の正体は、
「日本での売り手の利益をドンッと乗せている」かもしれませんね。


僕の想いは、
良い人や素晴らしい風景、
美しい物には、
可能な限り、
真摯に向き合っていきたいのです。
向き合えるよう努めていたいのです。

だから利益も低い時もあるのです。
でも、それで良いのです。

今の僕にとっては、
単なる、金銭売買はあまり重要ではないです。

旅の物語と共に
良い物を
良い方の元へ届け、
喜んで頂きたい想いなのです。


そんな感じなのです。